彼女が天に召されました。
それを青木から知らされた時、僕は言葉が出ませんでした。
頭が真っ白になってしまい、部屋の中をぐるぐると歩き回っていました。
信頼する青木の口から、彼女がどれほど素敵な女性かということをなんども聞かされていました。
もう一度、彼女を採用するために毎月のようにダバオに足を運んだ青木です。
1年間かけて彼女がセブ市に来られるように準備をしてきました。
それなのに・・・。
僕はとても辛いです。
検査費用は1万円でした。
でも彼女は青木からもらったそのお金を自分の検査に使うことができなかったのです。
それを聞いたときに、僕は本当に悔しかったです。
ここにフィリピンの貧困の問題が横たわっています。
僕は考えました。
もし彼女と結婚していたら日本の保険を利用して彼女は治療ができたのです。
死に至る必要なんかなかったのです。
そして僕も彼女が寄り添ってくれたならば、楽しい人生が送れたかもしれない。
苦手なことも一緒に乗り越えて行けるだろうし、落ち込む僕を笑わせたり励ましてくれただろう。
小さい時には、母親が色々と指導してくれました。
でも成人するとその関係がうまくいかなくなりました。
母親以外に寄り添ってくれる人が僕には必要だったのです。
彼女はフィリピン女性です。
どうしてもフィリピンパブを通してフィリピン女性を偏見でみてしまう人たちがいます。
夜の店で働いている人たちが全て結婚相手に良くない訳ではありません。
でも、僕たちが相手として選ぼうとしているのは、夜の街で働く女性ではなく、一般のフィリピン女性なのです。
彼女もそうでした。
一生懸命真面目に働いていました。
笑顔が絶えずにその場を明るくしてくれます。
相手を徹底的に励ましてくれます。
一緒に働くこともいといません。
そういう女性こそがひきこもっていた僕の最高のパートナーであり、支援者だと僕は思っています。
おまけですが、彼女たちは若いですから、多くの子どもを産んでくれます。
日本の人口問題にも効果がありそうです。
またフィリピン女性と結婚すれば、その家族も日本に住むことが許されます。
労働不足の問題にも効果があります。
彼女のように貧困ゆえに、若くして命を落とすという悲しみにもう出会いたくありません。
僕はまだ頭の中が混乱しています。
怒りが込み上げてくるのです。
自分にこんな感情があったことに驚きます。
その怒りをどこにぶつけたら良いのか?
とにかく悲しいのです。
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