私たちの記事が新聞に載った翌朝。
事務所に寝泊りをしていた私は、これからかかってくる電話に備えて朝6時に近くの牛丼屋に向かいました。
「青木さんですね。」
食事を終え、事務所があるマンションの玄関先で一人のご婦人に呼び止められました。
「新聞記事を見て来ました。朝早くに失礼します。昨日は朝から夜遅くまで電話をかけ続けたのですがつながりませんでした。」
「たくさんの人がこの新聞記事で希望を持ったと思います。それで皆さんが支援の申し込みをなさつているのではと思いましたら、こうしてはいられないとこんな時間にお邪魔してしまいました。」
玄関口ではなんですので、事務所に上がっていただきました。
玄関先からお母さんはひきこもっている息子さんの話をされました。
「息子は37歳になります。高校を中退してから一度ハローワークで仕事を探して入社しましたが、3日と続きませんでした。それからも工場の作業の仕事にもつきましたが、元々おとなしいところがありまして、周りの方達と会話ができないということで、一週間で辞めてしまいました。」
「それから今まで家に引きこもっています。『そのまま刺激をせずにそっとしておけば、いずれ自分で考え、決心してひきこもりから脱出します。』
「聞いた講演会で講師の先生がそうおっしゃっていたので、言うとおりにしていたんです。」
「今、息子は暴れているんです。『なんで俺のために動かなかったんだ。俺は不安が強くて動けなかっただけなんだ。そんな俺をほかりっぱなしにしやがって!!お前たちを絶対に許さない。殺してやる。』」
「今から頑張ればいいじゃないの。」と言いましたら、『お前たちはバカだ。どこのどいつが、37歳でなんの経験もない男を必要だと思っているんだ。』
そんな時にあの新聞記事を読みました。
実は息子が新聞をじーっと見ていましたので、息子が部屋に帰ってから新聞を見てみますと青木先生の記事を見つけました。
それから夫婦で電話をかけ続けたんです。
事務所のソファーに座っていただいた時には、大まかな話は終わっていました。
息子には「明日の朝始発に乗って名古屋に行って、この先生方に会ってくるからと言いました。」
「そうしたら、『今さら、遅い、遅すぎるんだ。死ぬしかないんだ。俺みたいな人間は死ぬのがいいんだ。』そう言って壁を足で何度も何度も蹴っているんです。」
「青木先生、どうか息子に希望を見せてやってください。生きる希望が息子にはないんです。」
「青木先生、むすこのことが心配なので、今日はこれで失礼させていただきます。」
お母さんとは後日相談をすることを約束いたしました。
電話番をしていたスタッフの俊介さんが先ほどから洗面所に立てこもっています。
すごい勢いで流れる水道の音。
その音に消されながらも、時々聞こえて来る泣き声?
「俊介さんに声をかけましょうか?」
大野さんが心配して私に提案をしてくれました。
「しばらく、そのままにしておきましょう。」
「お母さんのありがたさを思い出しての感謝の涙ですよ。」
そう言い終わらないうちに、問い合わせの電話が鳴り始めました。
「俊介!!電話番に戻って!!」
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