サポートセンターの宿舎に帰ってすぐに寝た。
まじめに働きたいのに、就職先がないんだ。
やっと面接してもらえたのに中卒の俺をバカにするような態度に落ち込んだけれど、何が何でも働かないといけないんで嫌なことは寝て忘れるようにした。
次の日からまた紹介所に行った。
アルバイトのスケジュールを調整しながら行かなければならない。
1日が無駄になってしまう。
1日働いて8,000円。
働かないと0円。
この差は大きい。
たくさんの人ごみの中で端末が開くのを待つ。
小さな子どもを連れているお母さん、背中を丸めてうつむいているおじさん。
みんな生きるために必死なんだ。
うつがひどくなり母ちゃんは仕事を辞めさせられた。
辞めさせると会社の立場が悪くなるので退職するように仕向けたらしい。
お金が入らなくなる。
絶体絶命だ。
「負けちゃあいけない。」
「負けないよ。俺。絶対自分に負けない。」
「自分だけじゃないんだ、母ちゃんもいるからな。」
紙に書く。
クローゼットの中に入り込み、ドアを閉めて大きな声でそう自分に言い聞かせる。
しかし心の中は不安だらけだ。
何もない自分。
せめて学歴だけでもあればとこの時ほど思った。
学歴がある人はこう言うだろう。
「学歴なんて意味がないよ。」
「実力があればやっていけるから。」
そりゃあそうだ。
実力があるあんたにはそうかもしれないけれどな。
何にもない中卒の俺にこそ学歴が最低限必要なんだ。
あんたと俺では置かれている立場が違うだろ。
よーく考えて発言してくれよ。
正社員で雇ってくれる会社すら探すのに苦労してんだよ。
わかったようなことを言うんじゃねえ。
昔のことを思い出した。
その人は親切心から俺を励まそうと思って言ってくれたんだろうな。
カウンセリングの資格を取るための勉強をしているとも言っていたな。
相手の気持ちを理解することは大変さ。
自分の親切心の押し売りはやめたほうがいい。
と言っても理解できないだろうな。
気づいたら俺が職業紹介所で一番若いんじゃないかと思った。
俺の顔を見つけると目で頑張れと合図を送ってくれる職業紹介所のおばさんもいた。
しかし、15回通って力尽きた。
馬鹿な俺でもようやくこの時にわかったことがあるんだ。
「みんなと同じようにしないと後々苦労する。」
「一度つまづくと再起がとても難しい」
「時間が経てば経つほど落ちていく」
みんなと同じように高校を卒業、親に経済的に余裕があれば大学に行く。
ちゃんと卒業して会社に入る。
そして給与を得て、日々頑張って昇給を目指す。
職場仲間も作り人間関係も円満になるよう努力する。
一緒に将来を作っていけるような相手を探す。
健康で、働くことが大好き。
失敗しても落ち込まず、また頑張ればいいよと前向きな考え。
うつの俺のお母さんを受け入れてくれる人。
お金はないけれどないなりに人生の楽しさを一緒に見つけていきたい。
もちろん何かチャンスがないかと二人で探し続けたい。
そんな女性が必要だ。
一人で生きていけるほど自分は強くないことがよくわかった。
仕事を先に見つけなければいけないのに馬鹿なことを考えている俺。
馬鹿な俺はヒロがやっていた「出会い系サイト」に手を染めてしまう。
寂しかった。
恐ろしいほど不安だった。
ため息ばかりついていた。
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