僕は長い引きこもり生活に終止符をうった。
それは自分の意思で決めたこと。
だれかに強制的に外に出されたのではない。
でも、どうしてひきこもりをやめてもう一度社会に戻るために頑張ろうと思えたのか?
正直その時の状況をうまく思い出せない。
あえて言えば、頭の中が大混乱していた。
何がなんだかわからなかった。
ただ、出ようと決めた時にとても興奮していた。
「これでもう僕は社会に戻ることができる。」
「ただ、戻るだけではなく、みんなを一気に飛び越えることもできている自分」を想像することができた。
それが強い興奮を僕に呼びおこした。
「ついにその時が来たんだな。やってやるぞ!!もはやできない自分ではなく、いろんなことができる普通の人間だということを証明する時が来たのだ。」
「いいやそれだけではない。奴らをとびこえられる。」
僕がひきこもっていた時にずーっと思っていたこと。
それが実現する。
「できるよ!!やってくれよ。」
「君の本気を僕たちに見せてくれ。」
「さあ、もう大丈夫なんだ。何も心配することはない。」
青木さんが僕に向かって言った。
僕が家を出ると決めて、青木さんが大きなバッグを持って家に来た。
「このバッグに君の家から持ち出したい物を入れてください。明日僕が迎えに来ます。」
「でもできるだけ持っていかない方がいいんだ。」
「嫌な思い出しかないはずだから。」
「服はその日着ているものだけでいいよ。
予備の服も靴もいらない。
明日は何時に迎えにくればいいかな?」
「今から出ます。用意はもうできているので、10分待ってください。」
「じゃあ、外に停めてある車の中で待っているから。家を出るときにおかあさんに、『行ってきます。』と言って欲しい。一言、言うだけでいいから。」
準備していたものはノートとシャープペンとアトピーの塗り薬だけ。
自分の部屋にあるものは全てゴミ袋に入れておいた。
「これは全てゴミに出して欲しい。」と書いておいた。
「おかあさん、行ってきます。」という言葉が出なかった。
玄関で立ち止まって、もう一度深呼吸をして、言葉を出そうとした。
でも出ない。
外に出てたら、青木さんが車から出て待っていた。
「言えません。」と言った。
そしたら、「ごめんなさい。おかあさんは邪魔したらいけないと思われたみたいで、外に出ていたよ。今から家に鍵をかけて僕たちは行くよ。」
「あははははは。」
この人はおかしい人だと僕は思った。
笑うことはしなかったけれど、この人ならぼくを傷つけることはしないだろうと安心した。
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