発達障害な僕たちから2

発達障害と診断され、2次障害でひきこもった東大、青木、シンゴと50代男Aとスタッフ吉村が社会復帰目指す日常を綴りながら支援についても書いていきます。

1枚の千円札 ヒロ

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賛美歌が終わった。

牧師先生が真っ先に、講壇にいる俺にあいさつに来てくれた。

「良かった、ヒロさん良かったよ!!

 

 

「はあ、どうも」

俺はどう答えてよいのかわからなかったんだ。

だって、一度も人から褒められた経験がなかったから。

 

 

青木さんも、人から褒められたら、こういいなさいと言ってくれていなかったんだ。

そうしているうちに、他の信徒の人たちも来てくださった。

 

 

どの人も、「あなた、辛いところを通されたんだね」

「頑張ってきたんだね」

励ましてくださった。

 

 

そのとき、俺の視界の中に一人の女性が入った。

年齢は70前後ぐらい、小児まひのような感じで、体を前後左右に大きく揺らしながら、こちらに向かって必死に歩いてきた。

 

「あなたは頑張りました!!」言葉もろれつが回っていなかった。

そう言うと、何かを僕のポケットに無理やつこっんだ。

慌てて、出してみると千円札だった。

 

 

「○○さん、あなた生活保護をもらっているんだから、無理しなくていいのよ、お祈りだけで良いの」違う信徒が言った。

「わたしは、この人を応援したいダケ!!

 

 

帰りの車中運転手の青木さんと反省会をおこなった。

僕は、さっきもらった千円札を取り出して眺めた。

くちゃくちゃの千円札だけれど、見ていたら涙が急に溢れてしまった。

 

 

いじめられたときも泣いた事がないのに、知らないおばあさんから、もらった千円札で泣いてしまった。

泣いた。

鼻水と涙がごっちゃまぜになった。

 

 

僕はこの千円札はありがたくて使えないと思った。

勉強が大変でくじけそうになったとき、恋人に振られて死んでしまいたいと思ったとき。

折に触れては、千円札を眺めていた。

 

 

今は、もうあの千円札は手元にはない。

千円札には十二分に助けてもらった。

今度は僕が誰かに千円札をあげる番だと思っている。

 

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