ギーガッチャン。
タイムレコーダーが時を刻んだ。
そして彼は後ろを振り向いて、僕たちに頭を下げた。
〈50代男さん〉が日々の仕事を終えて帰宅するのだ。
玄関先で「50代男さん」をお見送りしたスタッフと俺。
彼は俺たちを見ずに、視線を落としたまま小さな声で何かを話した。
「あの・・・・・・」
消え入るような声だった。
「どうされたの」とスタッフが聞く。
「・・・・・・」
しばし沈黙。
「今まで色々とお世話になりました。今日で最後にしたいと思います。」
「・・・・・・」
泣いていて言葉にならない。
これが慟哭というのか。
確か、工藤静香が歌っていたな。
「聞けよ。いやよ。聞けよ」このくだりがなんか好きだった。
そんなことに思いを巡らせていたら、スタッフに腕を掴まれて言われた。
「ちよっとスタバに行って、コーヒー フラペチーノ買ってきて。」
「スタッフ全員分ですか?」
「あのう、一応他のスタッフの好みも聞いた方が良いと思いますよ。」
「こちらで勝手にこうだと決めつけるのは、いくらスタッフだからといても、サポートセンターの流儀に反しているのではないでしょうか?」
「はっ?」
「う?」
「なんか俺間違った事言いましたか?」
「いいわ、お留守番していてちょうだい。」
「私が買いに行くわ。」
「俺は、抹茶 クリーム フラペチーノで。ホイップ多めで。」
「はっ!?」
スタッフはスナイパーのような目をしていた。
あとで教えてもらってわかった。
これが、これがていどの悪いアスペな俺の「KY」でございます。
フッー。
♩〜「どうしたんだ。hey hey baby バッテリーはビンビンだぜ」
清志郎が俺に歌いかけてきた。
そうだ、ツルピカ丼に聞くんだ。
解決方法を。
「もしもし、青木さんですか。緊急事態発生です。〈50代男さん〉、やめるって泣きながらい言っています。どうすれば良いですか、指示をください。」
「スタッフのAさんですか、なんかスタバのなんとかが飲みたいらしくて、スタバに行きましたよ。それで俺がお留守番です。」
「はい、はい。わかりました。青木さんもっとゆっくりと言ってください、覚えるために書いているんですから!!」
「あの、今青木さんと、教えてもらった会話のやり取りの練習をしてもいいですか」
「あ、そうですか今から飛行機に乗るんですね。では機内でお願いします。」
「あなたも、俺がちゃんと話せるかどうか心配でしょ。今から2時間結果がどうかとやきもきするより練習しましょう。」
そうツルピカを説得して俺は練習をした。
50代男さんの一大事。
俺は救世主だ。
彼の手をしっかりと握り、一気に地獄の底から引き上げてやる。
気を解放しろ!!
鼻息荒く、俺は隣の部屋に突撃した。
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