僕はいじめられていた。
いじめ偏差値なんてあれば間違いなく、トップランクだったろうな。
まあ、トップはおっさんだけど。
いじめというよりは、あいつらが行ったのは犯罪だろう、今思い返してそう思うんだ。
カッターで切り刻まれる。
悲しかった。
こぶし大の石を俺めがけて本気で投げるとどうなるかわかってやっていたんだろうか、あいつらは。
いじめられた記憶は消す事はできなかった。
いや違うんだ、消そうと思うどころか、絶対に忘れてやるものかと思ったんだ。
いつか、俺が感じた恐怖、悲しみ以上の事を仕返ししてやる。
それが、俺の生きる糧だった。
サバイバルナイフを調達して、その時がいつ来てもいいように備えていた。
俺は手のつけどころがない、凶悪な男だった。
その一方俺は、たくさんの人たちから、無償の愛を受け続けた。
無償の愛。
勉強ができる子を親は愛す。
皆と会話が会う奴を仲間と見なす。
まあ、あたりまえのことだよ。
無償の愛は違う。
凶悪な俺にでも分け隔てなく、同じように接してくれた。
教会で俺は愛される事に出会った。
ある教会で、俺は昔の辛い事を話した。
感情が高ぶって、講壇を拳で叩いた。
「はっは、話は終了、俺つまみ出される」そう思った。
じっとしてそのときを待った。
時間にして数十秒。
聴衆を見渡した。
皆下を向いて泣いていた。
ハンカチで目を覆っていた人が視線に入った。
俺は話を続けた。
「以上です、ご清聴ありがとうございました」
突然、牧師先生が立ち上がって言った。
「皆さんで、このときを感謝してご一緒に賛美歌を捧げましょう」
何の賛美歌か忘れた。
けど、凶悪な男の目から涙が落ちた。
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