大野は会話ができない。
苦手というより、できないと言った方があっている。
ASDの特性から会話ができない。
と言っても、本職である学生に勉強を教える上でのコミュニケーションは問題なく取れる。
自由に話すことになるとたちまち話せなくなる。
黙り込んでしまう。
他人と会話した経験がとても少ない大野です。
ですから、経験を増やしていけば、今の状況から大きく変わることは確かなのです。
東京大学を卒業して、東大大学院を終了しています。
理解して、暗記することはできるのです。
しかし、それには時間が足りないということです。
変な手足の動きや「ウン」と言ってしまう話し方を変えるには時間が足りないのです。
ですから、違うアプローチをしています。
新しいことをしていくのです。
大野は、他人との距離感がうまく掴めないのです。
彼が使う日本語は、他人行儀な言い方になってしまいます。
それを修正していくことはとても大変です。
ですから、彼には思い切って使う言語を日本語から英語に変えることを提案しました。
それで、日本語では取りづらかったコミュニケーションが英語を使って取りやすくなったのです。
残念ながら、英語でもまだ、違和感を感じさせる表現を使ってしまいます。
場に即した英語表現ができないのです。
どんな場面でも、中学、高校で勉強してきたそのままの表現を使うのです。
大野の英語は通じます。
しかし、違和感を感じさせてしまうのです。
丁寧すぎる英語表現が、他人との距離感を広げてしまうことがあるのです。
通じないわけではないのですが、とても堅苦しく聞こえてしまうのです。
ですから、大野には現地のビサヤ語を使うことを提案してました。
ビサヤ語は、フィリピンのローカルな言葉で日常で使う表現が主です。
日常で使う表現ならば、他人との距離感を広げずにすみます。
今、大野とAさんがビザヤ語で生活していこうと勉強しています。
彼らの苦手さに着目して、それが少しでも改善されれば良いでしょう。
改善することが難しいのであれば、違う方法を考えるのです。
新年には大野からの報告があります。
彼がどのように感じたのか、その日を楽しみにしています。
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