マイルールがとても強い。
認知の歪みが強い。
おかしな動作がみられる。
感情のコントロールができない。(0か100か)
こだわりが強い。
支援していく中で、当事者の色々な困難さに出会います。
そしていつも思うのです。
お母さん、お父さんは大変だっただろうなと。
第三者で支援の専門家の私たちでさえ、日々大変だなと感じるのですから。
でも当時者がもっとも生きづらさを感じているのです。
私たちの支援の目的は、当事者の生きづらさを軽減するスキルを身につけさせることです。
日々支援をする中で、著しく改善することもありますがそれは人それぞれなのです。
実際、事件は毎日現場で起きているので、スタッフは東奔西走して支援をおこなっています。
その中で、受容し、励まし、一緒に改善策を探して、それをできるように日々練習を重ねます。
ヒロさんのケースです。
フィリピンのインターナショナルハイスクールに通学していました。
毎日、スタッフと一緒に猛勉強をしていました。
そして試験の結果が戻ってきました。
その時、先生からこう言われました。
「もっと、頑張ってね。」と。
学校の授業が終わってから、ヒロさんは学長室に行き、学長に挨拶をしました。
「今まで、優しくしてくださって、ありがとうございました。やはり僕は頭が悪いので、学校を諦めて日本に帰ることにしました。さようなら。」と。
驚いた学長は担任に報告し、担任から支援をしている私たちに連絡がはいったのです。
慌てて、学校に行き、ヒロさんを探しました。
ヒロさんの携帯に電話をしても出ません。
心配になって、応援のスタッフを呼び、大勢でヒロさんの探索が始まりました。
先生方も加わってくださってやっと見つけました。
校舎の屋上にいたのです。
「全否定なのか。あれだけ勉強したのに、もっとやれだと!!ふざけるな。小、中と不登校、みんなから忌み嫌われていた俺だ。それをそうじゃないんだと、証明したかったけれど、わかったよ。やっぱり俺は人類のお荷物なんだ。死ぬしかないな。」
スタッフはヒロさんと一緒に暗くなるまで校舎の屋上にいました。
「先生はなんて言ったの」
「もっと頑張らないとだめだと言いやがった。」
「励ましのつもりで言ったんだよ。本当かどうかもう一度先生に話を聞きに行こう。」と言いましたが、ヒロさんはてこでも動こうとはしません。
仕方なく先生に屋上に来ていただき、話してもらいました。
先生が「励ましのつもりで言ったけれど、君を否定するもつりではなかったんだ。そう捉えさせてごめんね。」と言ったあと、ヒロさんは全速力で屋上から階段を駆け下り、校舎を後にしました。
すぐにスタッフが程よい距離を保ちながら、追跡開始。
途中、ハンバーガーショップに立ち寄ったとの報告を聞き、招集されたスタッフはその場で解散となりました。
翌日、学校を休ませて、ゆっくりと話をしようと思っていたら、「今日は、朝一番に校長から生徒に話があるので、飯早くしてよ。」と学校に行く気満々のヒロさんを見たのです。
数日たってから、あの出来事を解説し、どうすれば一番良かったのかをスタッフと一緒に考えさせました。
こんな日常が私たちの支援なのです。
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