私は57歳、30年近くひきこもってしまいました。
支援を受けてなんとか30年ぶりに外の世界に出たら……街並みもテレビ番組も何もかもが変わってしまっていて驚きました。
携帯電話も初めて手にして驚きました。
鏡の中の自分の姿は少年からとても醜いジジイになっており、外に出てももう手遅れなんだなと大きく落胆しました。
それでも、半日働いたら5,000円もらえるという美味しい話に飛びついて、6か月のリハビリ期間を終え、私は半日だけのアルバイトに参加しました。人の目がまだまだ気になりましたので、人の目が気にならない山奥の仕事とか田舎の方に自宅に迎えに来てもらい、終わったら送り届けてもらっていました。それがちょうど10年前のお話です。
あれから10年が経ちました。10年経ってもこの程度です。支援している人たちのせいではありません。私の特性がとても強いので、どうしようもないんですよ。
ASDと診断を受けていても、そんなに大きな問題を抱えずに社会に溶け込んでいる人たちもいるそうですね。
かたや私みたいに30年近くひきこもってしまった人たちもいるそうですよ。
何もしないと私のようにあっという間に30年です。
待っていればそのうち動くんですか?
待っていて動いた人もいるんでしょうね。
でも社会的ひきこもりの人たちが100万人だそうじゃないですか。
その人たちの親に「待っていれば子どもたちはそのうち動く」と言えますか?
私は言いたい、「待っていてはだめなんです。」って。
私が証明です。