サポートセンターで支援を受ける中で、今までできないと思っていたことができるようになったり、工夫をすればできるようになったりした。
自分にとって、このことはとてもとても大きな出来事だった。
工夫をしようが何をしようが、どうしようもできないことがあることも新たに認識した。
要は「今の自分の状況」を知ることができた。それが、回復にはとても大きかったと思う。
長い間<混乱の極み>の状況だったから。
混乱していた僕は、自分を否定することしかできなくなっていた。
だから、外に出ることが怖かった。
小、中と周りとうまくいかずに1人だった僕は、16才、20才と時間がたてばたつほど、同世代との差が大きくなっていることを知っていた。
だから、ひきこるしか方法がなかった。
そんな自分の状況をはっきりとわからせてくれたこと。
そのことは本当にありがたかった。
そこから、僕の回復が始まった。
もちろん、僕は小、中、不登校で、高校は中退。
そんな僕が社会で生きていけるはずがない。
どうすれば良いのか。
そんなこと考えたって、何も浮かばなかった。
だから、ひきこもりの状況が長くなればなるほど考えないようにしていた。
<エロ動画>か<韓国批判の書き込み>で不満を解消していた。
それでも、完全には解消できなかった。
しかし、流石に30才と言う壁を認識するような年齢になると、心がざわつく。
いよいよ、死刑執行のカウントダウンが始まる。
そんな気持ちだった。
そんな僕に「今からでも学んで、技術や知識を習得して、就職に活かすしかない。」
「その為には、必死に勉強する覚悟が必要だ。」と青木さんは導いてくれた。
まあ今になって正直言うけれど、そんなこと言われても、今まで勉強してこなかった僕が、急に勉強をやろうとするはずがなかった。
だから、強制的に勉強させられた。
「もちろん、君には勉強を拒否する権利もある。」
「でも、その場合は僕たちの君への支援は終了となる。」
この時の青木さんは、いつも温和な青木さんではなかった。
とても怖かった。
「支援が終了となると日本に帰らなければ、いけませんか?」
「やる気がない人は、日本に帰国するしかないよ。」
「徹底的にやり直したいという思いがあれば、どこまでも寄り添っていくけれど。」
「少し時間をください。」と言った。
勉強をする自信がなかった。
しかし、日本に帰ってもまたひきこもるだけだ。
アルバイト程度で納得することも考えたけど、それはもう自分の将来を投げ捨てるようなものだと言うことは、こんな僕でもわかっていた。
だから、考えた後に青木さんにこうたずねた。
勉強する自信がないので、大学に通い続ける自信がないです。
しかも、小、中と周りのみんなとうまくいかなっかた僕ですから、また失敗すると思うと怖くて仕方がない。
青木さんは、ある人の動画メッセージを見せてくれました。
その人は、僕と同じような過去を持つ人でした。
その人がこちらの学校に入る前の不安をスタッフに訴えている動画。
学校通学初日の動画。
1ヶ月後の動画。
その学校卒業直前の動画。
それらを見させてもらいました。
その動画を見て、「とにかくやってみます。ダメならダメで、その時にまた新しい道を考えればいいんですよね。そして、スタッフの人たちも決して見捨てずに寄り添い続けてくれるんですね。」と青木さんに言った。
「よし、やってみよう。」
そして僕はやりきった。
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