死ににいこうというのにいろいろなことが頭をよぎっていきます。
どうしても、Nだけにはありがとうと言い残しておきたかったんです。
Nは、サポートセンターで唯一僕の友達でいてくれた男です。
NはLDと診断を受けていました。
頭はとても良かったんだけれど、文章を読むことがとりわけ苦手な男でした。
僕と同じで学校生活がうまくいけなくていつも一人だった男です。
僕のことをいつも気にかけていてくれて、同級生なのに僕のお兄さんみたいでした。
だから、Nには「今まで、ありがとう僕の大切にしていたドラゴンボールのフィギュアをどうかもらってください。君は優しい人だから、きっと社会でうまくやっていけるよ。」
そう手紙を書いておきました。
彼に渡しそうとしたフィギュアには思い出がひとつひとつ詰まっていました。
だから、そのフィギュアの思い出も書き記しました。
さあ、時間だ。
行かなければ。
部屋の鍵をかけたとき、手が震えているのがわかりました。
僕は海に身を投げることを考えていました。
それが一番恐怖なく死んで行けるから。
海まではどうやっていくかは考えていなくて、
電車に乗らなければならないことを思いつきました。
で、お金がないので、もう一度部屋に戻り募金した中から一万円を抜いて、19万円と書き直しておきました。
駅までの道を歩いていると、何度吐きそうになりました。
何度も鳥肌がたちました。
電車に乗ったけれど、気分が悪くなって途中でおりました。
僕に暴力を振った中学の同級生達の声
アルバイト先で怒られた声
サポートセンターで一緒に泣いてくれた人の声
担任の先生の哀れみのような蔑んだ目
いろいろなことが凄いスピートで僕の頭の中を駆け巡るようになって、歩くことさえ出来なくなりました。
すれ違う人たちも、心の中で「早く死ね。」と言っているように感じました。
「お前は生まれてきてはいけない人間だったんだ。」
「どうした、一刻も早くこの世から消滅してください」
あちらこちらで、多くの人がそう心の中で思っていると感じました。
僕は、先を急ぎました。
「そうなんだ。死ぬことは俺ができる唯一の社会貢献なんだ」
海が見えてきましたが、Uターンして周りをぐるぐるとあてもなく歩きました。
「死ぬ」その決断が今、できないんです。
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