見つけたベンチで休んでいました。
僕はリュックにダンベルを詰め込んでいました。
ふと、その重さに気づきました。
後戻りはできない、そう自分に言い聞かせ立ち上がりました。
しかし、また座れるところを探して歩き回っていました。
そんなことを繰り返していたら段々日が陰ってきました。
暗くなる前に、死に場所を探し出さないといけない。
海に出て、うろうろしていたら良い場所が見つかりました。
人通りのない倉庫の陰に腰を下し心を整えて海に飛び込む準備をしました。
自分に最後の一撃を食らわす為に、中学のときのことを思い出しました。
たちまち、嫌な連中の顔や声が聞こえてきました。
いつもは、「てめえら、ぶっ殺してやる、待ってろよ」と口に出したり、足で床を踏みならしていたりしたけれど、今回はその声に支配されるままにしておきました。
「さあ、死ぬんだ」
小さく声に出して立ち上がったときに、僕は失禁してしまいました。
死ぬと決めたときには失禁するということを青木さんから以前聞いていました。
汚い話ですが、すべておしっこはでてしまい、ズボンが大変な状況でした。
しかし、おしっこがすべて出たことで、僕は解放されました。
これ以上考え込んでいたらいけない。
そう思うと同時に、目の前の海に向かって一目散に走って飛び込みました。
ダンベルの重さは思った以上に効果があり、僕はすぐに海の中に吸い込まれていきました。
のどの奥に水が一気に流れ込み、僕は一瞬にして意識を取り戻しました。
「苦しい」
「ヒロキ」
お母さんの声が一瞬聞こえました。
「おかあさん」
僕は心の中でそう叫んで、夢中でリュックを外し、海面に出ました。
のどの奥から水が逆流して、戻していました。
どこかで、「人が落ちたぞ」という声がしました。
俺は死ねないのか
生き恥をさらし続けなければならないのか
もうだめだ。
「大丈夫か、待っていろよ、おーいだれかロープないか」
僕は死ねなかったです。
でも、今はあのときしななくて良かったと心から思っています。
「神様が死ぬのは今じゃないんだよって教えてくれたんだよ」
後になってクリスチャンの人が僕にそういってくれました。
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