スタッフは3つのグループに分かれていました。
各グループには2人の女性スタッフがいました。
1番目のグループは優しいスタッフが担当でした。
1人は理想の母親みたいな女性でした。
もう1人は年齢は若いのですが、私の姉のような立ち振る舞いをしてくれました。
しかも日本語を少し話せるスタッフ達でした。
ですから、その人たちには、ぐちを言ったり、弱音を吐いたりしていました。
どんなに情けないことを話しても、ちゃんと最後まで私の話を聞いてくれたのです。
そのうちに私も落ち着いてきます。
こんなにだめな自分を曝け出しても馬鹿にしたり突き放したりしない人たちだから、最後まで面倒を見てくれると安心したのです。
ですからそこまでしてもらって、ようやく回復へのスタートラインに立ったわけです。
それからは、コミニュケーションを取るためのイロハを教えてもらいました。
徹底的に練習しました。
会話の最中の目線。
手の動き。
相槌の仕方。
笑顔の出し方。
色々なことを教えてもらいました。
教えてもらったら次は練習です。
2番目のグループは1番目のグループと違って、少しテキパキとしているスタッフたちでした。
その人たち相手に毎日会話の練習です。
昨日の出来事を英語で話すのです。
日本語はできませんから、大変でした。
1番目のグループの人たちから、教えてもらったことを練習するのですが、間違えたら指摘されます。
そして少し怒られます。
「もっと危機感を持ってやってくださいね。」という感じです。
この第2グループのスタッフ達によって、私は鍛え上げられました。
泣きたくなることもありましたが、逆に褒められた時にはとても嬉しかったです。
この人たちから認められるために、必死に練習をくりかえていました。
町で外人の人を見つけては積極的に話しかけたり、会話の練習をするために、カトリック教会に出向いたりもしましたよ。
そんなこんなで、練習を続けていくうちに、第3のグループのスタッフ達との実践が始まりました。
彼女達は、発達障害に対してあまり理解がない人たちです。
もちろん、団体のスタッフですから、多分演技なんだろうとは思います。
しかし、普通の若い女性なのです。
そんな彼女達相手に会話をするのです。
つまらない話をすると、そっぽを向かれたりもします。
幸い、そんなことは1度もありませんでしたが。
とにかく彼女達を笑顔にすることが私のミッションだったのです。
前の晩から会話のシュミレーションをしていましたね。
または、街を歩いていて気になったものを写真に納めて、相手のSNSに送ったり、
タガログ語の歌を覚えたりとか・・・。
今から思えば必死でした。
でもその甲斐あって、今は自信を持つことができた私です。
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