私はASDと診断されました。
東大さんもASDと診断されています。
でも、私と東大さんは違うのです。
こんな言い方は悪いですが、東大さんは私よりも良くないです。
毎週、東大さんと青木さんと私とで、東大さんの1週間の報告を聞きます。
ほとんどが東大さんの失敗談です。
まあ、その失敗談を自分の糧にするために報告を聞いているのです。
それにしても、「どうしてそんな発言をするのか?なんでそんな態度をとるのか?」
「なぜ、考えて行動しないのか」と東大さんに関して疑問だらけです。
支援を受けたくなくて、わざとそんな行動をしているに違いないと思っていた時もありました。
私は東大さんの報告を聞いて、いつも青木さんに「私も東大さんみたいですか?」と聞きます。
答えは、「あなたはもっと状態が良いですよ。」です。
それでほっとします。
私は、東大さんはかわいそうだなと思っていました。
こんなんじゃあ、他人とコミニュケーションが取れないよって。
日本で難しいので、フィリピンまで来て、フイリピンの中のまたローカルな地域に来たのに、それでもまだコミニュケーションがうまく取れないんじゃあ、だめじゃないですか。
そんなことを東大さんに言ったら、黙ってしまいました。
そしたら、青木さんが「人の幸せを決めるのはその本人ですよ。」
「Aさんの同級生が、Aさんに対して、『大学も行かなくて、30年間もひきこもっていたなんて、かわいそうな人だ。』と言ったらどう感じますか?」と青木さんが聞いてきた。
「私の人生なんだから、ほっといてくれ。と思いますね。」と青木さんに言いました。
「幸せ、不幸せを他人が決めるなんて馬鹿げている。」
それで東大さんに「東大さんは幸せじゃないですよね。」と聞きました。
「幸せです。」と答えたのでびっくりしました。
「なんで幸せなんですか?」と聞いたら次のように言いました。
「ひきこもっていたとき、生きている意味がないと思っていたけれど、今は誰かの役に立つことができるから。」「でも1番の理由は、こんな自分でも好きになってくれる人ができたことですかね。」
「恥ずかしい話、毎日彼女とメールのやり取りをしていて、彼女からのメールの着信音を聞くと嬉しいんですよ。」
「今まで感じたことのない気持ちなんです。人を好きになれたんですよ。」
そう言った東大さんは笑顔だった。
「笑うことを忘れてしまった。」と言っていた東大さんが笑った。
「次はAさんが幸せになる番です。」と言ってくれた。
確かに、東大さんはゴールに辿り着いたんです。
私はそれが自分のことのように嬉しかった。
東大さん、良かったですね。
東大さん、お幸せに。
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