少し笑顔が出てきました。というより、笑い方がわかったそうです。
最近は、大野の支援の話ばかりを書いています。
私たちの活動拠点であるセブ市で、3名の青年の支援をしています。
3名の支援ともほぼ終わっている状態です。
その3名は、ブログやYouTubeには出たくないので、必然的に大野に対する支援の話しか書けないのです。
もちろん大野に変化がなければ、書くことも限られてきます。
大野が変わってきたのです。
ASDの特性がとても濃くて、他者とのコミュニケーションがうまくいかない大野が、少しずつ成長してきているのです。
私は、30年支援をしてきました。
300人以上の人たちが社会に学校に戻るお手伝いをしてきました。
その中でも大野に対する支援が格段に難しいのです。
大野に対する支援の何が難しいのか?
それは本人が困っていないということです。
困っていないと支援には繋がりません。
大野は他者と関わることに不安と恐怖を覚えました。
そして他者と関わることを諦めたのです。
それから30年ひきこもったのです。
環境を変えるために日本からフィリピンに移りました。
フィリピンでたくさんの人たちと出会いました。
それぞれがとても楽しい思い出になったそうです。
そして、長い間忘れていた人と関わる喜びを、大野は思い出したのです。
ですから、日本から離れてフィリピンに移り住む決心をしたのです。
スタッフたちとの共同生活も楽しかったそうです。
いつも1人で食べていた食事も、笑い声が絶えない食卓ではいつもより食が進みます。
しかし、その状況も時間が経つにつれて変わります。
スタッフも転職や結婚を通して入れ替わっていきますから。
そのことで、大野にも変化が出てきたのです。
他者と一緒にいる喜びを味わい続けたい。
それには、どうすれば良いのか?
考えた結果、大野は結婚することを考えました。
結婚を考えた時に初めて、リアルな自分の状態を知ることができたのです。
もちろん、その当時の大野のままでは結婚なんかできません。
大野は大変困っていしまいました。
スタッフと多くの時間を費やして、話し合いをしてきました。
そして彼は決断したのです。
全てを変えても良いくらいな気持ちで支援を受けるということを。
やっと大野は私たちの支援と繋がったのです。
そう感じたのは数ヶ月前です。
それからの大野はゆっくりですが、確実に成長しています。
支援を受け続ければ、近い将来結婚をするでしよう。
もしかしたら、そのことを1番期待しているのは、大野よりもこの私かもしれません。
きっと結婚式では泣いてしまうでしよう。
その日を目指して頑張ります。
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