発達障害な僕たちから2

発達障害と診断され、2次障害でひきこもった東大、青木、シンゴと50代男Aとスタッフ吉村が社会復帰目指す日常を綴りながら支援についても書いていきます。

30年間ひきこもるとどうなるのか A

宇宙人との交信より、ボランティアの方が数倍ましだ。

 

 

30年間ひきこもりました。

言葉通り、30年間外にも出ていません。

親との会話もありませんでした。

 

 

 

生きていく希望なんてありませんでした。

だからと言って死ぬことは怖くてできませんでした。

毎日惰性で生きていました。

 

 

 

人生に希望を見出せないのですから、身なりに気を使う必要もありません。

ヒゲは伸び放題、頭の毛は自分で刈っていました。

うまく刈れないので、いつも段差になっていました。

 

 

 

入浴はしません。

だから服も着替えません。

 

 

 

起きたい時に起きて、寝たい時に寝る。

天気が良い日は縁側に座って、庭をぼーっと眺めていました。

雨の日は庭にカエルがたくさん出てくるので、それを眺めていたりしました。

毎日、毎日おんなじことの繰り返しでした。

 

 

 

だから、頭が変になっていきました。

ある時から、宇宙と交信できないかと考えて〈念〉を送る努力をしていました。

できたら宇宙人に連れ去って欲しい。

違う世界で生きていくことを考えることしか、思いつきませんでした。

 

 

 

家に、お客さんはほとんど来ません。

年に数回、セールスの人がやってくるくらいです。

呼び鈴がならされても、家の人がいないと私は訪問者が立ち去るのを息を潜めて待ちます。

 

 

 

なんども何度も鳴らす人がいて、トイレにいくことができなかったので、インターホンで「誰もいませんから、帰ってください。」と勇気を振り絞って言いました。

漏らすよりはましです。

 

 

 

いつの日だったか、セールスに来た人は若い女性でした。

玄関越しに聞く声がとても可愛くて、顔を見たくて仕方がない衝動が湧き起こりました。

 

 

 

それでも怖くて出られなかった私は、カーテン越しに帰る後ろ姿をじっくりと眺めました。

1週間近く、その女性の後ろ姿の残像が消えませんでした。

ひきこもっていても性欲は人並みにありますので、本当に困りました。

 

 

 

風俗に行くしかないと思っていました。

本屋で、アダルト本を購入したかったのですが、外に出られませんでした。

意を決して、親が寝静まった深夜に隣町の寂れた本屋に歩いて行きました。

 

 

 

心臓がドキドキしていました。

Hな本が並んでいるのを見た時、思わず声を出しそうになりました。

幸い店主がイヤホンでラジオを聞いていましたので、Hな本の中身をじっくりと見られるととても嬉しい気持ちになりました。

 

 

 

ところが、突然バイクの爆音が聞こえて、ヤンキーっぽい人たちが店に入ってきました。

私は、後ろ髪を引かれながらも、急いで店から退散して、家路を急ぎました。

 

 

 

帰宅途中に職務質問をされました。

風呂に入っていない。

服を着替えていない。

冬なのに半ズボン。

身分証明書を持っていない。

 

 

 

ということで、変質者に見られたと思います。

警察署に連行されました。

色々と質問された後、「真面目に仕事を探しなさい。」とアドバイスをいただき、自宅までパトカーで送ってもらいました。

 

 

 

それが一回限りの外出なのです。

 

 

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