支援を依頼されても、支援が実際に開始されるのは、およそ6割だそうです。
4割は、結局会うこともできずに、支援に繋がらなかったのです。
支援につながった人たちは、国内での支援か海外(フィリピン)での支援かを選択してもらいます。
と言いましても、10年以上ひきこもっている人たちが、日本でやり直すのはほとんど無理です。
ですから、長期ひきこもっていた人たちは、海外での支援をお勧めしています。
もちろん日本で支援を受けられる人もいます。
体験ツアーに参加してもらいます。
これはご本人を数人のスタッフで支援するのです。
そして、何ができて、何ができないのか。
苦手なことは何か。
得意なことは何かを1ヶ月間一緒に過ごしてスタッフが探るのです。
体験ツアーが終了したら、保護者との面談があります。
そこで、1ヶ月間一緒にいて、私たちが気づいたことを報告します。
報告をし終わると、保護者の方の多くはこう言います。
「息子はこんなにもできないことがあったんですね。」
「障害者として生きていくしかないんじゃないですか。」と。
「落ち込む必要はありません。練習すれば、身につけることができます。しかし、時間がかかります。2年、3年とかかるでしょう。」と青木さんが励まして言うのです。
俺は、フィリピンで時間がある時に、支援をしていたけれど、やっぱりこんなこともできないのかと思うケースは多かった。
で、やっぱり思うわけです。
親は何をしていたんだって。
で、青木さんが俺に言う。
お母さんは、目の前のことで、精一杯だったんだよ。
他の兄弟たちは、ちゃんとできているのだから問題はないとも思ったんだよ。
誰もお母さんを責められないよ。
俺自身大変な子どもだった。
手のかかる子ども。
問題ばかり起こす子ども。
だからお母さん方の大変さは理解できる。
だから改めて言いたい。
これだけはできるようにしておいてほしい。
30、40、50代の人でも基本的な生活習慣ができていない人が多いんだ。
10年、20年、30年とひきこもっていた人が社会に戻っていくために、身につけなければならないことはとても多い。
あれも、これもと苦戦している人たちをたくさん見てきた。
身につくまでには、多くの時間が必要だ。
それが俺だった。
せめて、子どもが親の言うことに耳を傾けることができている内に、最低限のことだけでも身につけさせてほしいんです。
元〈育てにくい子ども〉を代表して、俺がお母さん方にお願いします。
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