ひきこもっていた。
15年間もひきこもっていた。
15年間、家でじっとしていた。
やることといえば、インターネットで無料のエロ画像を探したり、2チャンネルで、韓国を叩いている人たちの意見を見たりしていた。
見ているだけではなく、自分も過激な発言を投稿していた。
この時期はインターネットに支配されていた時代。
結局、現実に向き合えない。
現実を見たくない。
その理由から、インターネットの世界に没頭していた。
今考えたら、全く無駄なことをした。
僕の場合は、憂さ晴らしでしかなかったから。
この時期は思い出したくもない。
悲しみの感情しか湧いてこない。
ひきこもりなんかするもんじゃない。
喜んでひきこもっている人なんていない。
僕はそう思う。
もう1つ書くとしたら、僕は、恐ろしく不器用な人間。
誰かがブログで書いていたな。
〈ラックが組み立てられない。〉って。
同じだな。
僕もさっぱりできない。
小さい頃、同じ年の連中はフィギュアとか組み立てていた。
僕も欲しかったので買ってもらったけれど、うまく組み立てられなかったので、イライラして、床に叩きつけたことがあった。
組み立て系、分解系はダメだ。
全くだめ。
みんなができることが、僕にはできないのでとても悲しかった。
小学校、中学校で授業があっても何も組み立てられなかった。
「美術は?」
「はい、幼稚園児レベルです。」
フィリピンの大学で絵を描く授業があった。
なぜかフィリピン人はみんなとてもうまかった。
僕も気を取り直して、「一生懸命描けばそこそこ描けるんだ。」と自己暗示をかけた。
しかし、数分で幼稚園児レべルから脱していないことが明白になった。
嫌な汗が背中をつたっていく。
「お腹が痛い。」と言って中断する。
小学校、中学校の時の得意技を思い出す。
しかし、変に自信をつけていた僕は、描いた絵を提出した。
3日後、先生に呼び出された。
先生の個室には僕しかいなかった。
先生の机の上には、僕の描いた絵がむぞうさに置いてあった。
先生は一言、言った。
「どうして、ふざけたの?」
「私は怒りに満ちてしまい、他の先生にあなたの印象を聞いて回ったわ。」
「どの先生も、『あなたほど真面目な生徒はいない。』と言っていたわ。」
「私に対して、何か不満がありますか。」
「はあ」と僕は大きくため息をついた。
どうしようもできない。
ただ、無力感を感じた。
「先生、僕のことを知って欲しいのです。説明するので、1時間ほどください。」とお願いした。
来週お会いする約束をとった。
大変だな、僕は。
「困っていることは何ですか。」とサポートセンターのスタッフは聞く。
「絵が恐ろしく下手です。」
それが僕の答え。
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