席に着いた僕に、隣の男の子が身を乗り出してきました。
「あのさ、『ワンダーマン』のビデオ持っていたら貸してほしいな。」
「???」
「だめでしょう!!あと10分で発表しないといけないのよ。」と女の子が言った。
そう言うとすぐに僕に近寄って来て、「セーラームーンのバッグをおばあちゃんが買って来てくれたんだ。」とぼくの耳元で嬉しそうに囁いた。
「いや、あの。うん?」
「なんか頭が混乱して来た。」と僕の心の声。
「発表は東大さんにしてもらいます。」
「それじゃあみんな各自5分で調べて、まとめましょう。」とリーダー格の女の子がリードした。
なんのテーマだったかは覚えていない。
ただ、小学6年生が話す英語のスピードには全くついていけなかった。
それぞれの子が書いたものをグループのリーダー格の子が1枚の紙にまとめた。
まとめられた紙が僕に渡された。
僕はすぐに目を通して、言葉に出してみた。
わからない単語が随分ある。
どうしよう?
10分がたった。
「それでは東大さんのグループから発表してください。」
https://www.youtube.com/watch?v=X_spDwVIOSs&feature=youtu.be
「英語の単語がわからない。どうしよう??」と思ったら、隣の女の子と男の子が身を乗り出して僕の手元の紙を覗き込んだ。
「◯✖︎◯◯」だよ。と女の子が教えてくれた。
なんとか発表し終わったら、クラス全員が拍手をしてくれた。
この日はこの1時間で授業は終了した。
とにかく疲れた。
最後に先生から「挨拶をしてください。」と言われたので、もう一度同級生たちに挨拶をした。
「仲良くしてくれて、ありがとう。これからよろしくお願いします。」
クラス全員が割れんばかりの拍手をしてくれた。
担任に挨拶をして、クラスから出ようとしたら、同級生に囲まれた。
「スぺースポリスはフィリピンでやっていたの?」
「ナルトは誰が好きですか?」
「ワンピースは見ないの?」
青木を見たら、先ほど同じグループで僕を助けてくれた女生徒と話している。
とにかくなかなか家に帰してくれなかった。
彼らにとって初めて見る日本人だったらしい。
1人の子が言った。
「日本、ありがと。日本大好き。」
「お父さんがよく言っていたんだ。日本はフィリピンを助けてくれたんだ。だから日本人にあったら優しくしてあげなさい。」って。
僕はそれを聞いて泣きそうになってしまった。
先人たちのおかげでこうして、今の日本は受け入れられているんだ。
感謝せずにはいられない。
帰りの車中で青木が僕に話してくれた。
「あの女の子が色々と話してくれたよ。」
青木はこの小学校で長年ボランティアをやって来たので、全校生徒が青木を知っている。
「青木さん、あの男の人、お家にお金がなかったから、小学校にいけなかったんでしょ。でも大丈夫だよ。私がお友達になってあげるからね。何も心配しなくて言いよって言ってあげてください。でも、もう少し元気よく話すといいかな。」
そう言った青木は鼻水を拭きながら泣いていた。
「優しさを教わったな。」って。
僕も鼻水と涙でクチャグチャになっていた。
お互い歳は取りたくないと感じていたに違いない。
下記バーナーのクリックを2つ押してください。
ご協力をお願いします
日本ブログ村に参加しています。
1位でいると新しい人たちが訪問してくれます。
クリックをお願いします。