僕にはできない(苦手な)ことがたくさんあった。
その一つには服を選ぶことです。
その日何を着れば良いのかわからない。
だから何日も同じ服ばかり着ていたり、同じデザインの服ばかり洗いながら着ていたりした。
服を選ぶのはめんどくさいというより選ぶことができなかった。
スタッフさんたちに見立ててもらった服。
着せ替え人形の様に扱われて、ああでもない、こうでもないと取っ替え引っ替え服を胸に当てられた。
何人かのスタッフでの品評会。
「これとても良いよ!!鏡で見てごらんよ。」
とてもじゃないけれど、ご遠慮した。
鏡で自分の姿を見るなんて絶対にしたくないこと。
「いいです。結構です。」という言葉に「そうなんだ。じゃあとにかく私たちのセンスを信じてね。」ということで大量の服を購入。
目の覚める様な赤色、青色、紫色。
絶対に買わないな、こんな色。
なんてことをしてくれたんだ。
俺は絶対に着ないぞ。
部屋に帰ったら、スタッフが言った。
「日本から持って着た服を出してください。」
そう言われたから全てスタッフに差し出した。
「気に入っている服はありますか」と言われたので、黙っていた。
「ないということだよね。」
「じゃあ、この服小学校でのボランティアに寄付してくれないかな。」
「寄付ですか?良いですよ」とぼくは言った。
「日本の思い出も消し去りましょうか。」
僕は小さくうなづいた。
日本の思い出なんか良いことなんて何もない。
消し去ることには大賛成だった。
しかし、僕はスタッフたちが購入した服を着ることはできなかった。
僕は僕で自分で決めていたことがある。
服はグレーか黒以外は着ないこということ。
首がしまらない服とか長袖の服も嫌いだ。
だからスタッフの買ってきた中で、黒とグレーの色だけ着ていた。
スタッフが言った。
「色々な服を着てみなさい。」と。
そこで僕のおかしさが出てしまった。
黄色のシャツにクリーム色のスボンに黄色の靴下。
黄色人間の出来上がり。
スタッフが言った。
「同じ色で決めるのはよくないね。」
次の瞬間僕はフリーズした。
ダメダトイワレテモ、ドウシタライイノカワカラナイ。
「この色とこの色との組み合わせはどう思いますか?」と言われても。
頭が完全に動かなくなった。
2、3日後スタッフが僕に見せたものがある。
1日ごとに着る服がセットにしてあるものだった。
それを見て僕はとても嬉しくなった。
これでイライラすることが一つなくなったのだから。
こうしてまたできないリストから「服を選べない」が削除された。
少しずつ社会に所属できる様になっていった僕です。
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