ぼくはすでに両親を天に見送っています。
兄弟が1人いるので、天涯孤独というわけではありません。
その兄弟も、母親と同じようにひきこもり続ける僕を一度も責めることはしませんでした。
今はその兄弟と、僕がひきこもっていた30年間のことを話題にできるまでになりました。
「なんとかしなければ、大変な事になると思いながら、どうしようもできないまま30年間が過ぎた。」
「今、こうして再びあなたの笑顔をみられるとは想像できなかった。」と泣きながら話してくれる兄弟です。
僕は僕で、このままでは僕の存在が兄弟の家庭に迷惑をかけてしまうことはわかっていたので、自分の手で、自分の人生に幕引きをするつもりでいました。
60歳という年齢がその時だと決めていました。
今考えると後3年です。
3年で僕はその存在を消す予定だったのです。
何もできない自分。
家でじっと息を殺して、生きながらえるだけの自分の存在が不憫で仕方がありませんでした。
そんな自分でも、自分の人生の幕引きは、自分の意思で決断して実行できる。
50歳を過ぎて、そんなことばかりを考えていた僕です。
両親は僕の行く末を案じて、お金を残してくれていました。
「私たちが死んでも、お前が生き続けられるだけのお金はあるから心配しないで。」と言ってくれた母の顔を今でもはっきりと昨日のことのように思い出します。
「お前を置いて先には死ねないよ。」
いつもは気丈に振舞っていた母がポツリと独り言のようにつぶやいたことがありました。
「お前の面倒を私の後にみてくれる人がどこかにいないかね。」とも。
母にこんな思いをさせてしまった自分が本当に情けない。
だからこの存在を1日でも早くこの世から抹消したいと考えていました。
30年。
僕以上に辛い日々を送っていた父と母。
できたら今も健在でいてくれたら。
来年には初給与をもらい、結婚もして急いで子作りをし、父と母に孫の顔を見せられたかもしれないのに。
その望みを叶えることは、もうできないのです。
突然の母の死。
もう一度と、希望を持って一生懸命、心のリバビリをしていた僕に、突然届けられた母の訃報。
どうして。どうして今なんだ。
高齢とはいえ、検査でどこも悪くなかったはずなのに。
数日前まで元気に旅行を楽しんでいたのに。
なぜ、なぜ、なぜ。
どうして今のタイミングなんだ!!
「お前を置いて、先には死ねないよ。」そう言っていたのに!!
これから一生懸命、恩返しをしようと思っていたのに。
もうその母はこの世にいない。
僕はすぐにフィリピンから日本の母の元に向かいました。
母を見送った後に、兄弟が僕に話してくれました。
「隆(僕の本名)は、もう私の手から離れたんだね。」
「大丈夫だよね。あの子はもう大丈夫。」とその母の顔は笑顔だったと。
「私たちのような家庭が他にもいらっしゃるはずだから、お前の頑張る姿が多くの人に希望を与えると思うから、決して後退してはいけないよ。」と兄弟が、僕に言ってくれました。
僕はその言葉を噛み締めて、今日も一日感謝して、生きて行きます。
ありがとうございます。
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