20年間ひきこもった人の支援をしています
発達障害とは診断されていませんが、以前かかった病院から一度検査をしたほうが良いと言われたまま、なにもせずに20年間が過ぎたのです。
ご両親は私たちに依頼をされても、「もうあまり期待はできないので、楽しく人生を過ごさせてくれたらそれでいいです。」
「もともとあの子は他人と交わるのが嫌いな子で、一人がいいんだと思います。」
「だからひきこもったと、うちら夫婦はそう考えております。」
中日の山本昌に似ている彼はまだぎりぎり30代です。
昌さんとの関わりは3年目に入っています。
その歩みはゆっくりとしたものです。
会えるまでに1年間もかかってしまいました。
会えてからもゆっくりとした歩みで、支援プログラムをこなしておられます。
20年間、家族以外の誰とも会ってはいません。
外出したこともなかったのです。
そういえば彼(Mr.joe)も昌さんとひきこもり期間、年齢が同じくらいですね。
しかし、状況は明らかに違います。
「自分はもう人生を諦めてますから。」
「ゲームをやり続けて1日が過ぎる。そんな風に20年を過ごしてきました。」
「結婚? フッフッフ、できると思いますか?」
独り言のように話したのです。「できないさ。できないよ。できないってば。」
「一人が良いのか?という質問は、一人でいることを好んでいるかということですか?」
「違いますね。僕はみんなと楽しくやりたかったけど、みんなについていけなかった。」
「みんなから離されたくなかったので、がんばったけど疲れてしまいました。」
「もう良いんですよ。サポートセンターでは、僕は邪魔者ですからね。来るなとはっきり言ってもらえれば、来ないですから。」
「この前、障害者の人たちが殺されましたでしょ。あの人たちは重い障害があっても生きたいと思っていたのに、突然命を奪われて本当にかわいそうでした。」
「どうせ殺すなら、僕を殺せばよかったのに。」
「生きたいという思いの人を殺してはいけないんだ。」
涙が出そうになりましたので、話題を変えました。
「お腹減ったけど、何食べたい。」
「僕、吉牛で良いです。ミニの牛丼で十分です。」
「俺は嫌だな。美味しいもんが食べたいんだ。」
「近くに美味しいうなぎの店があるからそこにするよ。」
立派な店構えのその店にはじめて入りました。
すぐにトイレに駆け込んで、財布の中身を確かめました。
そして席に戻ると昌さんはすでに注文を終えていました。
10分して僕の注文したうな丼並だけが来ました。
「注文したよね。」
「はい。」
3分程、遅れて彼の注文した料理が来ました。
懐石料理でした。
「吉牛のミニサイズって言ったよな。」と言いたかったけれど我慢して、外に電話をしに行きました。
「ごめんなさい。間違えて注文してしまったんだけど、ほんとごめんなさい。」
スタッフの会計責任者にご機嫌うかがいです。
「青木さんが良かれと思ってしたことですから、私は何も言いません。」
「そうだよね。そうなんだ。必要だったんだよ・・・。」
気が小さい私です。
2分程度の電話でしたが、昌さんはすでに食べ始めていました。
「寂しいな、一緒に食べようよ。これはルールなんだよ。」
そう言うと箸を箸置きに返し、吸い物の蓋を閉じ始めましたので、「これから覚えておいてね。」と優しく言いました。
圧倒的に経験不足な昌さん30代後半。
昌さんの変化の時がやってきました。
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