毎日が同じだった。
何も変わらない日がとても辛かった。
時々ストレスから机を叩いたり、大きな声を出したりしていた。
警察を呼ばれない程度に。
ある日母親がサポートセンター名古屋に倉庫があるからそこで働けと言ったので、働くことにした。
働いているおばさんたちはみんな優しかった。
たくさん稼げはしないけれど、アルバイト初心者の俺には良いアルバイトだった。
そのうちにアルバイトが終わってから、サポートセンター名古屋のスタッフの人が作る夕食を一緒に食べることにした。
そうすると母親が夕食を作らなくていいのでその分休めるから。
夕食の後、カラオケに誘ってくれたり、ゲームをしたり色々と楽しいことをした。
だんだんスタッフたちを信頼するようになった。
時には今までのことをぶちまけたりもした。
それでも静かに話しを聞いてくれた。
本当はクラスのみんなと楽しくやりたかったけれど、みんなとうまくやっていけない。
勉強はできないけれど本当は勉強がわかるようになりたい。
高校もちゃんと卒業したかった。
そんな本心をスタッフに話すようになった。
「高卒認定試験を受けて大学に行きなさい。」とスタッフがある日言った。
「学歴が全てではないけれど、無駄になることはない。」
「将来に対する選択肢が確実に増えるから。」
自主退学とはいえ、学校からさじを投げられた俺に対して、ちゃんと向き合ってくれたスタッフに心が揺さぶられた。
「やりたいです」
素直にそう言った自分に自分が驚いた。
「このままで人生終わりたくない。」その思いが強かった。
俺の新しい人生がこの時から始まった。
勉強は厳しいからという理由でサポートセンターの宿舎に住むことにした。
母親と別れて暮らしてよかったと思っている。
一緒にいるとなんでか当たってしまう。
本当は大切に思っている母親なのに。
離れてみてやっぱ思うことは母親のことだった。
夢をよく見た。
いつも母親があの男に殴られたり蹴られたりしている夢。
母親が一番最後に笑った記憶の覚えがない。
俺が頑張るしかないんだよ。
そして俺が母親を笑顔にしたらそん時は俺のわだかまりもなくなっていると思ったんだ。
早朝サポートセンターの仕事をする。
朝食後外でのアルバイト。
帰宅後に高卒認定試験の勉強。
毎月20万円稼ぐことが俺が建てたノルマ。
5万円を母親に渡した。
少しでも母親を早く楽にさせたかった。
しかし本当にしんどかった。
病気にならないように自己管理もしなきゃいけない。
遊びに行きたかったけれど、リズムが崩れるようで怖かった。
自分で言うのもなんだけれど人が変わったように俺は勉強をした。
これが最初で最後のチャンスなんだと自分にいい聞かせた。
恥ずかしい話だけれど、中学のときほんとんどの教科が1か2だった。
勉強なんてもうやるもんかと思っていた。
でも心のどこかで本当は勉強のやり方もわからずにそのままになっていただけで、やり方さえわかればできるんじゃねえのかと思っていた俺だった。
でもそんなこと誰にもいえねえし。
誰が俺を馬鹿にしないように勉強を教えてくれるんだ。
だからスタッフが丁寧にバカにせず優しく教えてくれたことは本当に良かった。
スタッフが俺に期待を寄せていてくれる。
その期待を裏切りたくなかったから、一生懸命勉強をした。
もちろん最初は何回言われても理解できない自分に腹が立って、鉛筆をまっ二つに折ったり、教科書を床に叩きつけたりしたこともあった。
そんな時スタッフは平然と「喉が渇いたからコンビニでジュースを買ってくるね」と言って外にでる。
帰ってきたら俺が好きなジンジャエールを一本買ってきただけ。
「わからなくて当然だよ。
でも今もう一度勉強すると決断して頑張っている姿にスタッフみんな敬意を示しているんだよ。」
「あなたの勇気は素晴らしい。」
このことは今でもはっきりと覚えている。
俺は一人じゃないんだとわかった瞬間だった。
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