Aさん、朝から晩までプログラムをこなしています。
マリンスポーツにビリヤード、ボーリング、おしゃべり。
おいら達は帰りの車中で爆睡です。
沈黙を破ってAさんが突然はなし始めたんだ。
僕は小学校から不安が強くなって行けなくなったんだけど、それから今まで両親以外とは話してはいなかったんです。
だからこんなにたくさん話せて嬉しいです。
もちろん皆さんが僕に対して気を使ってくださっているのはわかります。
でも嬉しいです。
こんなにたくさん話したことがないから。
いつもひとりだったから。
生まれてきてから一番楽しい日でした。
涙ぐんでいた声だった。
その話を聞いてうつらうつらしていた俺は泣いた。
泣いたのがバレてしまうのが怖くて、寝たふりしていたが涙と鼻水が止まらなかった。
ひとり、嘘をつけない俊介さんだけが起きて、Aさんの話に耳を傾けていた。
うん、うんと声に出してうなづいていた。
ロイダは完璧夢の中。
「大丈夫なんじゃないかな。」
突然俊介さんが言い放った。
「僕でも大丈夫だったから」
いやいや、状況は違いますよ俊介さん。
俊介さんは高校を卒業しているし。
Aさんほど状況は悪くなかったし。
嘘寝ができなくなったんで会話に参加した俺。
「どうするつもりですか、今後。」
Aさんが口を開けた。
「青木さんとも話したんですけれど、将来を考えると、学校をどうするのかをまず最初に考えなければならない。」
「僕は高校に行っていないのでまず高卒認定を受けなければならない。」
「でも僕はそこでもう立ち止まってしまいます。」
「青木さんから高卒認定の過去の試験を見せてもらったんですけれど、何もわからないんですよ。」
「もしや二桁の足し算、引き算もわからないとか?」
「いやいや、それはありえない。」
「そんな人はいないでしょ。」
いるぞ、右横にな!!
ちよっとムカついた。
鼻水が・・・・・・
「途中で挫折するのは目に見えています。」
「いやいや、ちゃいますよ、挫折させないようにするためにおいら達がいるんでしょうが」
「一年勉強しきるという気力が今はないです。」
「そんなこともあって両親とは話し合いました。」
「学校は諦めて英語が日常会話ぐらいできるようになれればいいかなというのが今の目標です。」
「海外に住んでもう一度やり直したい気持ちが強いけれど、次はまず一ヶ月間住んでみます。」
「そうやってゆっくり、ゆっくり確かめながらやっていきたいんですけれど、どう思いますか。」
うーん、それもありかな。
でもまだ30代、もう30代 人によって感じ方が違うからな。
「・・・・・・」
Aさんじっーと下を向いたままです。
「どうしたんすか?」
「僕は小学校から行けなくなってしまったんです。」
「学校に戻りたくてもう一度頑張ったけれど無理でした。」
「中学がダメでも高校でと不登校の子どもを受け入れる高校でリベンジを目指したけれど一ヶ月で中退。」
「通信にも行ったけれどやはり数ヶ月で中退。」
「それでひきこもってしまいました。」
「僕はなんどもなんども自殺を試みたけれど死ねなかったです。」
「自傷行為がひどくてその傷が原因で余計に人前に出られなくなりました。」
「僕は本当に悲しい。」
「今日こんなに楽しいことがあったから余計に悲しい。」
「どうして?と思ってしまいます。」
俺は涙と鼻水で大変なことになっていた。
途中からそっちに気が入ってしまっていた。
テイッシュを持ってこなかったんだ。
鼻水が、あっあ、垂れる・・・・・・
とっさに手もとにあった布で鼻水を拭いた。
それは青木さんが貸してくれた着替え様の服だった。
心配ないですよ、後で洗濯しておきますから。
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