ひとつひとつみなさんの思いが込められているんだ。
青木さんから大学の学祭で日本の古着やおもちゃを売りなさいという命令が下った。
一兵卒である俺には上官の命令は絶対だ。
すぐに見繕って学祭に出店した。
学祭がはじまり門がオープンするや否や、大勢の人たちがなだれ込むように大学内に入ってきた。
なんとおいらの場所は門の前だ。
全てのお客様がおいらのブースに殺到だ。
開始早々人だかりの山。
おいらの彼女もあまりの興奮に声が上ずってしまった。
用意したぬいぐるみ等が一時間程度で完売したんだ。
そりゃあ俺は大興奮っす。
目の前の光景が信じられなかったから。
しかし問題があった。
この学祭一般市民でも入場可能なんです。
でいろいろな人たちが入ってきました。
その中には不良青年達もいたんだ。
そいつら俺の店にケチをつけてきやがった。
無視をしていたら、手に取っていた俺の商品を投げ捨てたりしていたんだ。
「こんなゴミみたいなもの売ってんじゃねえよ。」
「タダにしろ俺たちがもらって行ってやるよ。」
「NO」
と俺が強く言うとさらに商品を手荒く扱いやがった。
俺は怒りで震えていた。
飛びかかってぶん殴ってやりたかった。
怒りでフリーズしている俺に向かって俺の彼女が言ったんだ。
「さっさと行きな。でなきゃ警察呼ぶよ」
やつら恐れをなして退散したさ。
その出来事を帰宅してサポートセンター名古屋のスタッフに話したんだ。
そしたら途中で話を止められた。
「青木さんにこの話を聞いてもらいましょう」
「青木さんは忙しいんだよ。仕事の邪魔はしたくないんだ」
「いや、この話は青木さんも生で聞きたいと思うよ。」
青木さんが滞在しているホテルから駆けつけてくれた。
俺は二人を前に話しんだ。
俺が今回学祭で販売したものは日本全国から届けられた人形や小物だ。
その中から今回一部を販売に回しました。
重複したものや大量にあるものなどを販売したんです。
それらの商品は見てくれは多少悪くても送ってくださった人たちの心がこもった大切なものだ。
その商品は日本で引きこもっていた青少年がひとつひとつよごれや破損がないかを確認してここフィリピンに送り届けてくれる。
つまりこの商品にはたくさんの人たちの思いや希望が詰まっているんだ。
しかも貧しい地区の子どもたちにとってはひとつひとつが心を躍らせるものでもあるんだ。
たかが少しよごれた人形ではないんだ。
それを粗末に扱いやがったあいつらをぶん殴ってやりたかった。
怒りじゃなく俺は悲しみを感じたんだ。
話をし終えてから、青木さんが言った。
2つ良いことをしたね。
ひとつは自分の感情をコントロールできたこと。
かなり怒れたはずだけれど、怒らなかった。
とても良いことだね。
2つ目は人の思いに共感できたこと。
いろいろな人たちの思いを思い出せたんだね。
「そんなの当たり前じゃないですか」
「バカにしないでください」
「昔は当たり前じゃなかったよ。」
そう言うと11年間の中での俺のお恥ずかしい出来事を二三言った。
確かに昔はひどかった。
「成長するんだよ」
「アスペルガーでも成長するのか」
俺は自分で声に出してもう一度言ってみた。
「アスペルガーでも成長するんだ」
しかし!!同時に俺はものすごく興奮していた。
俺の彼女だ。
「さっさと行きな。でなきゃ警察呼ぶよ」
ほ、ほ惚れてまうやろ
あかん、俺、速攻昇天。
また、明日。
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