大統領と呼ばれている男がいる。
若い日本人の少年がボランティアをしている事に、多くの人が驚いた。
ある人が、将来がある少年に大統領にでもなって、この貧しいフィリピンの現状を変えてみたらと言われた。
その時以来、彼のあだ名が「大統領」になった。
大統領は、自分の過去をひたすら、振り返る作業をした。
時には、忌々しい過去が、再び彼を苦しめた。
言葉にならない、叫び声を何度もあげていた。
突然、身近にあった物を思いっきり床に投げつけ、破壊した事もあった。
しかし、その作業は、無駄ではなかったんだ。
今、大統領は忌々しい過去から完全に解き放たれた。
忌々しいと思っていた過去が、実はかけがえのないものだったとさえ思えるようになった。
それだけではない。
彼の過去を振り返る作業は、他の人たちにも、恩恵をもたらした。
まずは、程度の悪いアスペな俺だ。
ひどくいじめられていた俺はいじめた奴らにいつか復讐してやる、その気持ちだけで生き抜いてきた人間だ。
凶暴と化した俺は、多くの人たちを傷つけた。
いつもサバイバルナイフを護身用に身につけていた。
そんな俺も支援を受け続けることで、氷と化した俺の心が溶けていった。
やがて、俺は、「許す」と言う事を知った。
「人を許す事は自分をも許す事」
それがわかったんだ。
俺は、変えられたんだ。
「いじめられた事は俺には宝のような物だ。」と今は思っている。
その事で鈍感な俺にも、他者の痛みが少しはわかるようになったからだ。
しかし、どうしていじめられたのか、どうしたら虐められなくてすむのかという事が問題だった。
もちろん、サポートセンターのスタッフから嫌になるくらい聞いてきたはずだ。
しかし、俺の頭ではうまく理解できなかった。
そこにあいつが、俺に語ったんだ。
自分の過去のいじめられた出来事を通して、大統領は俺に語った。
語り続けたんだ。
そうしてくれたおかげで、俺は自分の過去を冷静に分析する事ができたんだ。
「いじめられ続けてきた過去」からの完全な解放だ。
今日は難しい話をしてしまった。
今から、ちよっとインターネットカフェ行って「ドラゴンボール」を見てきます。
ちっす!!
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