僕は長いこと悩んでいた。
悩んでいたことの正体がなんなのかもわからなくて、それも悩んでいた。
頭の中にはたくさんの「?」がぎっしりと詰まっていた。
(わからない。)
どうして、僕は勉強ができないのかが、わからなかった。
もっと正確にいうと、学校の授業を一生懸命聞いているにも関わらず、先生が言っていることが理解できないまま、授業だけが前へ前へと進んでいく。
それがとても辛かった。
先生が、黒板に書く内容を一生懸命ノートに書き写すんだけど、先生の字が下手クソだったし、行が斜めになっているのがどうにも許せなくて、そんなことを気にしていたら、自分自身ノートに書き写せなくなってしまった。
とてもとても辛かった。
ほんというと、僕の字もとても汚いので、後から自分が書いたノートを見ても何を書いているのかがわからなくて、もっと落ち込む。
それとノートに印刷されている行の間に書くのがとても苦手だった。
僕にはできなかったんだな。
もうどうしたら良いのかがわからない。
でも時間だけは過ぎていく。
小学校の学年だけが自然と上がっていく。
僕には<できない><わからない>がどんどん増えていく。
授業だけじゃない。
放課の時間にみんなと何を話せばいいのかわからなかった。
だから、いつも黙っていた。
そしたら、誰かが「ブンは何も話さない。変な奴だ。」と言った。
それから、クラスみんなの僕への態度が変わったと思う。
みんなから、仲間外れにされていく僕。
そんなことは、望んでいないのに。
みんなと仲良く楽しくやりたいだけなのに、みんなは僕を排除した。
それが、とても悲しかった。
席替えとか、遠足や社会見学でグループ分けの時間はとても辛かった。
今、思い返しても、恐怖が付きまとう。
(みんなから嫌われていた僕は、死なないといけないんだ。)とずーっと思っていた。
そんな恐怖から逃れるために、学校を休むしかなかった。
支援されている今でも、時々手が震えたり、トイレから出られなくなったり、シャワーを浴びていたら、後ろから誰かに刺される気がしてとても怖い。
長い間、混乱しかなかった僕の人生。
生きていて、楽しいことなんか何もなかった。
早く死んで、この気持ちから逃げたかった。
こんな話をサポートセンターのスタッフに話したら、黙って聞いてくれていた。
スタッフは少し泣いていた。
こんな話を誰かにしたのは、初めてだった。
誰もこんな話をちゃんと聞いてくれないと思っていたから。
誰かに話しても、「強くならないといけないよ。」そんな言葉で片付けられるのがもっと怖かったから。
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