私は歩いて熊野古道へ向かった。
歩いていけると思ったが、歩き始めてすぐに足がつった。
やはり20年間の引きこもりは体力さえも奪っていた。
すぐに電車に乗ることにした。
お昼を過ぎると学生たちが乗り込んでくる。
学生が怖い。
サラリーマン姿が怖い。
小さな子どもとその両親の姿も怖いと感じることに気づいた。
もう自分には手が届かないものだと感じるからなのか。
ベビーカーも直視できなかった。
南行きに乗れば到着すると検討をつけて、とりあえず来た電車に乗った。
乗った電車は各駅停車だった。
こんなものに乗っていたら、いつか学生やサラリーマンたちと鉢合わせしてしまう。
大きな駅で降りて次の電車を待った。
そしたら私の周りに異変がおきていることに気づいた。
私の周りだけ空間ができているのです。
なぜだろうと不思議に思っていた私。
駅のホームを歩いていたら、鏡に映る自分の姿をみて腰を抜かしそうになった。
そこには仙人がいた。
髪の毛はお尻のあたりまで伸び、顔中ヒゲだらけ。
人間がいまだかつて足を踏み入れたことがないような辺境の地から、人間世界に舞い降りた仙人。
途端に私は強い羞恥心を感じ、駅のホームから退散した。
とにかくこの場から逃げ出さないと。
走った。
走りながら、どこに行けばいいのか考えた。
でもどれだけ走っても、私の体の一部である髪の毛とひげはそのままついてくる。
走って逃げるより床屋が先だと気づいて、床屋に駆け込んだ。
「わあっ」と店主が私をみて声をあげた。
「お客さん、テレビの撮影か何か?」
「すみません、大至急、髪の毛を切ってください。」
そこにいたお孫さんをつれたおばあさんが体を強張らせていたことをよく覚えている。
もはやなんと言っていいのかわからなくなり、涙が出てしまった。
そうだ、日本人だからおかしいんだ。
私はペルーからおじいさんの生まれ故郷、日本にやって来ました。
ペルーの人には悪いけど、ペルーってこんなかんじの人がいるのではないかと思ったわけで。
店主に英語を話した。
ペルーではこんなスタイルは普通です。
と話した。
「お母さんちょっと来て。変な外人さんが来たけど、言葉が通じんのよ。」
「交番の山下さんは話せるよね。」
「山下さんに通訳頼んでみようか」
「職質」「警察署へ連行」「数多くの質問」
だめだ、それだけは阻止しないと。
ワタシ、ニホンゴダイジョウブヨ。カミノケカットシテクダサイ。
「作り話にしてはよくできている。」と思っているあなた。
恥ずかしながら私はこんなものなのです。
やることなすことおかしなことばかり。
生きて行くのがとても大変だと感じた私です。
うまくいかないことばかり。
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