おっしゃりたいことはわかりますって。痩せますって!!
面接は一度に10人で行われた。
俺の組はパキスタン野郎と俺と中国人と顔が真っ黒だけれど黒人じゃない人だった。
つまりみんな外国人。
???
なんで日本人はおいらだけなのか?
正確に言うとおばさんみたいな人もいたけどな。
面接はあっさりとしたもんだった。
外国人にはどの程度日本語が話せるのかチエックしていた。
どの人も最悪な日本語だ。
それではとてもレジでの応対ができるとは思えない。
勝負あったな。
余裕が出てきたおいら。
おいらにはまさか日本語チエックはあるまい。
毎度恒例の「どうして高校にはいかなかったんですか?」だろうな。
「次は◯◯ヒロさんですね。」
俺は他の外人とは違ってその場で立ち上がり、深々と礼をした。
どうだ、これがジャパニーズスタイルだ!!
わかったか、パキスタン人たちよ。
「◯◯さんは高校には行っていないのですか?」
「はい、母親が心の病気で、父は生まれながらにして骨の病気で、まともに働けなくてですね。それで僕は、高校進学を諦めました。働いて自分のお金で定時制高校、そして大学へと進むつもりです。」
嘘をつきましたよ。
はい、ごめんなさいね。
こうでもしないとダメでしょ。
「いじめられて、不登校で、成績オール1です。高校は自分の名前を書くことができれば受かる高校に入りましたが数日行っただけでやめました。今はサポートセンター名古屋で支援をしてもらい、社会復帰目指しています。そして、ひとつ言わなければならないことがあるんです。実は僕はアスペルガーなんです。」
こんなこと言ったら誰だって引くでしょ。
受かるわけないじゃないですか。
「だからと言って、嘘をついてもいいという理由にはならないなんだぞ!!」
そんなこと言われたら、おいらはどうすれば良いんですか。
まあいいや。今はそんなことを言う必要は何もないですから。
だって、もう直ぐ大学を卒業するわけですから。
嘘をつく必要なんて何もない。
アスペルガーだってわざわざ言う必要もない。
俺を縛っていたものから、解放されますよ。まもなく。
だからといって問題がなくなるわけではないですけれどね。
話が逸れてしまいました。
高校に行かなかった理由を述べた後に、手を上げた。
「どうしましたか?」
「ひとつ今のコンビニに対して提案があるんですけれど。」
「あの、店外に置いてあるゴミ箱は個人のゴミ箱になっていますよね。」
「あれを清掃し続けるのは大変です。そこで提案です。ゴミ箱を店内に持っていったらどうでしょうか?家や車のゴミをわざわざ店内まで持っていく人はいないのではないかと思うのです。」
決まった!!
このポーズ大好きなんですよ。いつも1人でやっていますよ。
採用もこれで決まりだー!!
バキスタン人よ、これが日本人のそこぢからだ。
「貴重なご提案ありがとうございました。」
? うん たったそれだけですか・・・。
まあいいや、これでコンビニでアルバイトをして、お金を稼ぐぞ。
最高に浮かれまくっていた、程度の悪いアスペな俺。
20歳の秋がふかまってゆく。
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