(履修届けを早く出さないといけない。)
二度目の登校で学生課に行った。
朝一番の電車には乗れないので、昼前の電車で登校した。
学生課には担当職員がいた。
「すみません。履修届けを出していないんですけれど・・・・・・」
「えっ! 1年生? 」
「ほとんど締め切ったよ。」
絶望的な答えが返ってきた。
「もう無理ですか?」
「まだ大丈夫なところを探すしかないね。」
「今までなにしてたの?」
絶対にそう聞かれると思っていたので、アパートで一人でじっとしているときに答えを考えてあった。
「僕は精神病なんです。」
こう答えれば、それ以上のことは聞いてこないだろうと思った。
今なら「発達障害なんです。」と答えればいいのかもしれない。
「精神病って・・・・・・」
と言って首を横に傾げた。
「今から説明しますよ。よく聞いててください。」
「あっ、友達に聞けば・・・・・・?いないよね友達。」
「はい」と小さく僕は答えた。
結局、5教科程度しか履修届けを出せなかった。
出来るだけお昼以降にしたかったけれど、ほとんどが午前中だった。
その足で教科書を買いに構内の生協に行った。
生協構内には人がたくさんいた。
仲間連れが多いように感じた。
あの場所に入っていき、たくさんの書籍から自分の必要とする本を買うことは無理だと判断した。
閉店時間を確認したら、後1時間後だとわかったので閉店ぎりぎりに駆け込んで「目が生まれつき悪いので、代わりに探してもらえませんか。」と言うことを思いついた。
問題はあと1時間この広い大学構内のどこに身をひそめるのかということ。
トイレに1時間しゃがみ続けて、立ち上がったらよろけてしまったことがあったのでトイレで1時間は無理だ。
図書館へ行くことにした。
図書館に入ったら、とてもたくさんの学生がいたので驚いた。
結局図書館のトイレの便器にしゃがんで、1時間を過ごすことにした。
閉店間際の生協は、弁当の安売りをするみたいで、それ目当ての学生が今か今かとその時を待っていた。
「おい、お前並べよ。」
一人の学生が僕の背中越しに叫ぶ。
誤解だ。
慌てて、手を横に振って「誤解です。僕は半額弁当を買いに来たのではありません。」とジェスチャーで意思表示をみなさんに示した。
全員年季がはいった4年生のような感じだ。
殺気を感じたので、レジでお願いしてことを済ませて足早に生協を出た。
外が暗くなっているのに気づいた。
「しまった。帰宅ラッシュアワーにかち合う。怖くて電車に乗られない。」
大切なことを忘れていた自分が腹ただしい。
仕方なく、まだ空いていた大学構内のカフェテリアで夕食をとることにした。
店内は数人しかいないので安心できた。
できるだけ長くい続けないといけない。
頼んだ定食を食べた後、買ったばかりの教科書を読むふりをして10分後、ケーキを頼んだ。
ケーキが来てから、ケーキに手をつけるまでに5分程度教科書を読むふりをした。
そしてコーヒーを頼んだ。
コーヒーが出てきたらすぐにホタルの光が店内に流れた。
慌てて飲んだコーヒーで口の中を火傷した。
もう大丈夫だ。
駅には誰もいない。
これからはこういう風に過ごしていけば大学に行けそうだ。
自分にそう言いきかせた。
駅はたくさんの学生で溢れかえっていた。
「ふざけるなよ。お前らいったい何してんだ。早く家に帰れよ。」
「ふざけるな。ふざけるなよ!!」
みんな遅くまで大学に居残って勉強している。
考えればすぐに分かること。
僕は大学に来ることもできない人間。
勝負あったな。
とにかくもうどこにも自分の居場所はないんだと思ったら涙が出てきてしまった。
アパートに帰り着いたのは日付が変わってしまっていた。
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