食事ができないほど緊張していたので夕食は講演会の後にとる予定にしていた。
会場の片付けをしていたら一組の親子が青木さんに近づいてきたこう言ったんだ。
「この後少しお話しできませんか」
正直講演会が終わって急激にお腹が空いていた俺です。
ちょっと嫌な気持ちになった。
どうしようかなと俺の顔を見た青木さんにおもいっきし嫌な顔をした。
「わかりました。会場の片付けに20分ほどかかりますのでその後でよろしいですか」と答えた。
「お母さんお手伝いお願いできますか。そこの少年も」と一組の親子にも声をかけた。
講演会場の近くにはラーメン屋しか空いてなかったのでそこに俺たちは行った。
俺は速攻塩ラーメンを頼んだ。
食い意地が張っていた俺だ、十年前ぐらいの出来事もよく覚えているさ。
すごく太ったお母さん。30後半ぐらいかな。
ずいぶんやつれている。
こどもは顔に生気を感じられなかった。
どちらにしても大変な問題をかかえていることは感じたんだ。
時間は夜の11時を回っていたと思う。
疲れからねむけが襲ってきた。
しかし、ねむけと腹が減ったのとの戦いが俺の中で行われていた。
お母さんの話は長かった。
俺の家庭とよく似ていた。
こどもは俺とは正反対でめちゃくちゃな親父のせいで自傷行為があるらしい。
今は家から全く出られなくなっているとのこと。
こん時、青木さんからの強烈なテレパシーが来たような感じがした。
「子どもと話をしなさい。」
「子どもの心を癒しなさい」
俺は話しかけた。
話しかける練習なんか何もしてもいないのに、無謀にも話しかけてしまった。
「元気?」
最悪な問いかけだ。
誰が見ても顔から生気が感じられないのに。
少年は下を向いてしまった。
しかも顔を90度ぐらい傾けてしまった。
なんかその少年スイッチがオフになったような気がした。
はあ、勘弁してくれよな。
何で沖縄まで来てこんなことをやらされるんだ。
精神科に行って先生に見てもらうか、薬でも飲んで治すしかないだろ。
イライラしてきた。
くそったれ、塩ラーメンまじ遅いぞクソおやじ。
「スタッフに電話して先に帰るように言ってもらえないかな」と青木さんが俺に命令した。
「ハァ?」
「自分でやれよこのやろう」
一瞬だけど昔の悪い俺が出てきてこんな風に言いそうになった。
「あっ、Y君あのねまた講演会のお話が3件来たよ。来月また沖縄に行くことになったよ。しかも今度は謝礼が出るよ。◯◯円だよ」とスタッフが電話口で話した。
「マジスカ!!そんなにもらえるんですか」
講演会一本で暮らしていくことをこの時俺は決めた。
万引き、カツアゲ、高校で先生ボコボコに殴ったとかシンナーやったとか鑑別所の生活とか話題はいっぱいある。
しかも中卒だからこそ箔がつく。
そんじょそこらの不良とはわけが違うからな。
暴れていたこともまんざらではなかったと心から思った。
(すんませんこの時はいい気になっていました。今は違いますよ)
もうお金のことは心配しなくてもいいからな。
「最高だ!!最高の人生だ」
「捨てる神ありゃあ、拾う神あるさ」
ウキウキでラーメン屋に帰った。
この気持ちを青木さんに話したくて仕方がなかった。
でも、お母さんが泣いていた。
急に現実に引き戻された俺。
俺の塩ラーメン伸びていたし。
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