精神的に不安定になっているケンさんから電話がありました。
「アズ直子さんのテレビ番組見ましたか」
「僕はフィリピンにいるから見ることができなかった」
「僕は決めたんです。」
「今から一生懸命努力してアズ直子さんのようになるって。」
「そうなんだ。」
「決めたんだ。」
「よかったね」
「努力をしなかったから僕はこの有様です。」
「努力をしたら結婚もできるし、収入も今より多くなるんです。」
「ヒロが言っていたけれど、僕は程度の悪いアスペルガーじゃないですよね。」
「・・・・・・」
「もしもし、青木さん、なんか言ってくださいよ。」
「聞いてますか」
僕は答えを探していました。
どう答えればいいのか。
しかし思いつきはしませんでした。
「それで今年一杯で会社を辞めることにしました」
「母親には来年から予備校に行って大学を目指すと言ったんです」
「そうしたら、お母さんが寝込んでしまいました」
「なんで寝込んだと思う」
「・・・・・・」
「それは言いたくありません」
「黒船大挙襲来って記事読みましたけれど、つまり、僕のような状況の人達は仕事を外国人にとられる可能性が大きいということですよね。」
「だから、日本に来た外国人と対等に戦えるだけの武器を手に入れろ。」
「そういうことなんですよね。」
ケンさんがよくわかっていたので驚きました。
「はい、その通りです」
「何年後ですか」
「突然その時が訪れるのではなく、じわじわと僕たちがきづかないうちに、日本国内に外国人達の移住地区ができていたりするとか」
「地域社会の中でいろいろといざこざが起きて、それが社会問題になる頃には手遅れじゃないかな。」
「青木さんが僕ならどうしますか?」
意表をつく問いかけでした。
「いい問いかけだね。」
「青木さんがいつも言っていたじゃないですか?」
「自分一人で決めるのではなく周りにいる信用できる何人かの人たちに聞いてみなさいって」
「僕ならか・・・・・・」
「僕ならね。」
「僕ならまずお父さんとお母さんに大切なことを話し合いたいのですとお願いする。」
「そこで大学に行きたい思いをご両親につたえる。」
「その次にすることはお金について話し合う。」
「家にある全財産と借金そしてこれから入ってくるお金と出て行くお金を計算してもらい表にしてわかりやすく見せてもらう。」
「そうしたらケンさんが考えている大学に関係する費用が払えるのか払えないのかがわかるでしょ。」
「それで?」
「あとはケンさんが一生懸命勉強するだけです。」
「アズ直子さんみたいになれると思いますか。」
「わからないな。」
「努力することは大切で素晴らしいことです。」
「しかし、努力したら誰もが同じ結果になるというわけではない。」
「あの回りくどい言い方やめてもらえませんか。」
「僕はアズ直子さんみたいに結婚してお金持ちになれるかどうか聞いているんです。」
「はい、いいえで答えてください。」
「わからない。」
「これが僕の答えです。」
「ブッチ」
携帯を一方的に切ってしまったケンさんです。
テレビ番組で取り上げられる「発達障害」や「ひきこもり」に関する番組はすべてスタッフの誰かが視聴しています。
その報告が私に上がってきます。
「アズ直子さんの番組は「アスペルガー症候群」に関する啓発になってとてもよかったと思います。」との報告でした。
私は本を出版された時に初めて知ったのです。
と同時に私たちが支援をしている方たちとは違う状況の方だと思いました。
アスペルガーと言っても色々なタイプがあります。
翌週は「程度の悪いアスペな俺ことヒロさんが登場します」
そんな風になってくれたらとても嬉しいんですが・・・・・・。
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