12月に入って、青木さんから俺宛に電話があった。
「T君のこと覚えている?」
「誰、それ」
「5年前に一緒に日本で支援を受けていたT君だよ」
「あっ、あいつ何かしでかしたんですか?」
「違うよ。君のブログを発見して読んでたら、君に会いたくなったんだって、それでフィリピンまで来てくれることになったよ」
「仕事は?」
「新しい仕事に変わるから、一ヶ月近く時間があるんだって」
「Tが俺に会いに来る為に、フィリピンまでやってくる?」
Tは優しい奴だったという記憶がある。
サポートセンター名古屋で支援を受ける人たちは平均して3年程度の支援を受ける。
年齢が若かったり、状況が重くない場合だと、1年とか2年とかかな。
俺と同時に支援を受け始めた、これまた年齢が同じ3人組がいた。
そのひとりがTだ。
Tは確か2年程度で支援が終了し、仕事につけたんだ。
3人組で俺だけが取り残された。
Tが支援が終了し仕事に就く為に田舎に帰る日、俺に食事をおごってくれたんだ。
「おい、飯いかねえ」
いつも言葉少なにしているTからの誘いに俺は驚いた。
おごってもらったのは、バーミヤンという中華料理の店。
安さと早さを売り物にするどうってことない店。
そこで、俺たちはランチ定食を頼んだ。
カウンターに並んで、黙々と飯を胃袋に詰め込んだ。
その間、会話なんて何もない。
しかし、俺はTの優しさを痛いほど感じていたんだ。
もう少しで、泣きながら餃子定食を食う俺様がいた。
「また、どこかであえると良いな。元気でな」
そう言うと俺たちは別れた。
あれから5年が過ぎたのか。
あっという間の5年だった。
Tの5年間はどうだったのか?
あったら聞いてみたいと思ったんだ。
Tの優しさに感謝。
下記バーナーのクリックにご協力をお願いします。
日本ブログ村に参加しています。