視線の先には俺の明るい未来がみえる
失敗をしてしまいました。
そう、大統領が期待していた失敗だ。
てめえ、うれしいだろが。
大学中退になりそうな所を助けていただいた先生方。
その先生方に青木さんがお会いして、ご挨拶するという事で俺が段取りをする事となりました。
青木さんからは、先生方が何時に学校が終わるのかだけを聞いておいてください。
学校外でお会いして短くご挨拶だけしたいということを伝えてください。
それは青木がヒロさんの父親役だからです。
そう青木さんから日曜日に聞きました。
俺は大切な事はメモをするのが習慣になっています。
聞いただけでは忘れてしまう事が頻繁にあるので。
忘れる事以外にも、まったく違うふうにとらえてしまう事もあります。
だから、俺にはメモが必要なんです。
メモをしてスタッフの前で復唱する。
そこまですると行き違いや、間違いが防げるのです。
すべてのアスペルガーの人がここまでしなければいけない事ではないです。
俺みたいに程度の悪いアスペルガーはここまでしなければこの社会の一員として生きて行く事はできません。
次の月曜日、青木さんに報告をしました。
「先生が会う事はできません」とおっしゃってました。
「どうしてかな」青木さんが聞きました。
「きっと忙しいんじゃないですか」俺は答えた。
「先生になんてお聞きしたの」
「青木さんが学校に行ってお会いしたいから、何時が都合がいいですか。それと、お土産がたくさんありますので期待していてください」
「・・・・・」
「ねえ、メモ帳をもう一度よく見てください。昨日僕は君になんて言ったのかな」
「はぁー、やっちまった」
「なんで、・・・・」
青木さんが「なんでそう言ってしまったの」と言いかけてやめてしまった。
「僕のミスだ。」青木さんは小さくそう言い直した。
青木さんは顔の表情を滅多には変えない人。
俺ら発達障害の人間の中には相手の顔の表情で瞬殺にして相手の気持ちを読み取る事ができる人がいる。
それが、俺だ。
青木さんのポーカーフェイスの中に失敗した自分を責める表情が読み取められた。
「何が青木さんのミスですか?僕が100%悪いですよ」
「うーん」と青木さんは言ったきり黙り込んでしまった。
「どうしたんですか、あきれてものが言えないのですか」
「ヒロさんには大切な事は1つしか言ってはいけない」というルールがあるんだ。
昨日は2つ言ってしまった。
しかももう1つの方がインパクトが大きすきで、先生との段取りが飛んでしまったんだ。
もう1つの大きなインパクト・・・
本当はその事が今日のテーマだった。
「新しい恋人誕生か」
青木さんから新しい彼女を紹介してもらう事になった。
青木さんから手渡された写真を見た。
それが、それが、それが信じられないくらいの美人なんだ。
発射3秒前、2、1
ファイヤー !!
ドッカーン !! 発射成功
大気圏を超えて、どこまでも飛んでけぇ〜おれ
我慢できない俺は「すみません」の一言を青木さんに残して、17階からグランドフロアーまで一気に駆け下りた。
ホテルのエントランスを出、大通りを狂ったように全速で駆け抜けた。
「あんな美人が俺のものになるなら、もう何もいらねえ、何もいらねえんだ」
「発達障害ありがとう!!いじめてくれた皆さん、元気ですか?」
自然と笑みがこぼれて来た。
誰もいない路地裏で、俺は頭の中に流れる激しいビートに身を委ねて踊った。
狂ったように踊った。
「ピコ、ピコ ♩〜」
いけねえ、青木さんの事をすっかり忘れていた。
「もうそろそろ、帰って来てね」
冷静になって考えてみりゃあ、無理だは。
こんなきれいな女性、無理に決まってる。
「無理かどうかアタックしない前にあきらめるの?」青木さんが聞いてくれた。
この人は本命に取っておいて、その前に俺もっと「恋愛偏差値」を高めたいんですよ。
今のままじゃ可能性限りなく0ですよね。
じゃあ、明日からきみの好きな「あしたのためにその3」をやろうか!!
のぞむところですわ!!
ハッハッハ、人生捨てたもんじゃねえ!!
ところで失敗した話はどうなったんだ??
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