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サポートセンターのスタッフから、おやじが俺と話をしたがっていると聞かされた。
今晩、10時にスカイプ(テレビ電話みたいなもの)で話しなさいと言われた。
ついに来たか、日本に帰ってこいという指令が。
「何の話なの?どうせ怒るんだろうなおやじ」
もうどうにでもなれってんだ。
俺は投げやりな気持ちに支配されていた。
不安で不安で1日、何も手がつけられなかったんだ。
10時きっかりに父親からスカイプを今からやるという電話が来た。
「こんにちは、ヒロ君、頑張っているんだね、スタッフの皆さんから聞いているよ」
その口調から、俺の頭のコンピューターが、はじき出した答えは「大丈夫だ」だった。
「おやじ、久しぶりです。ご無沙汰しております」
おかしいでしょ、俺の口調。
家族には敬語をしゃべるんだ。
なんか、わからんけれど、普通にはなせないんだ。
ちなみに、青木さんもそうです。
なんか、程度の悪い発達障害のグループに共通する何かがあるんだろうな。
「今は、大変だって言う事も聞きましたよ。」
「でも、がんばっているね。すごいじゃん」
「すごいじゃん」の言葉を聞いたら、急に涙がどばーっと出てきた。
「昔の事を言って悪いけれどね。死んでも勉強なんかするものかと言っていた君が、こんなに変わるなんて、想像できなかったよ」
「インターナショナルハイスクール」を卒業しただけで、お父さんは十分だと思ったんだけれど、大学生活に挑戦しているんだよね」
「おやじ、すまない。休学になってしまいました」
「わかっているよ。青木さんから逐一報告を受けているからね」
「大切な事は、あの時、こうしたらよかったのになと後悔しない事だよ。結果はどうであれ、精一杯やったと感じる事が大切なんだ」
「やる前に、逃げたらだめだよね。」
「ヒロさんは、果敢に挑戦しています。お父さんは、そんなヒロさんを誇りに思っています」
おれは、途中から父親の顔を見る事ができなくなってしまっていた。
俺のマイクのボリュームも0にしてあった。
「おやじ、俺はその期待に応えたいです。ありがと、さようなら」
そう言ってスカイプを切った。
涙と鼻水で俺の顔は既にくちゃくちゃになっていた。
思う存分泣いてから、俺は決心した。逃げない、戦うぞ!!
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