その晩、父と母からの説教に備えた。
しかし、父は何事もなかったように俺に振る舞った。
何も聞いてこない。
「俺の事を考えてそーっとしておいてくれているんだろうな。」
少したったら俺は落ち着いた。
もっと落ち着く必要があったので、外に出てうろうろした。
うろうろはいいですよ。
お医者さんから、「暴れたくなったりしたら、一人になってうろうろしなさい。」
とアドバイスをもらいましたから。
でも、注意してください。
深夜にうろうろすると、おまわりさんが話しかけてきて、少し抵抗すると
パトカーに載せてくれて、もっとたくさんおまわりさんがいらっしゃるところに連れて行ってくださいますから。
外を歩いている最中、家に帰ったら父親に今日の事を報告しようと決めた。
「どうせ、センターの連中はあきれて、今頃笑っているんだろうな」
父親への報告のさいごにそう付け加えた。
「ほんとかな。」
「サポートセンターの人が、バカにしたの?」
「センターの人ね。お父さんの職場に来て、報告してくれたよ。」
「あいつら、なんて言っていたんだ」
「スーパーの仕事より、倉庫業の仕事が向いているから、そちらで働いてもらうって」
「サポートセンターの人からお前にと封筒を預かっているよ。」と父は言った。
表紙に目をやると、「アルバイト代」と書かれてあった。
その文字が数十倍大きく目に映った。
破って中をみたら、3000円入っていた。
言葉が出なかった。
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